福岡アジア美術館で江口寿史先生に会えました2

年齢50代の私は、福岡アジア美術館で江口寿史先生を目の前にした瞬間、思わず「うきゃうきゃ」してしまいましたが、会場を見渡すと若いお客さんの姿もとても多く、あらためてその人気の幅広さに驚かされました。
なぜ江口寿史先生は、これほどまでに世代を超えて注目され続けているのでしょうか。
近年、1980年代のマンガやアニメ、音楽、ファッションが、若い世代にとって「新鮮なカルチャー」として再評価されています。
レトロでありながら洗練された感覚、アナログならではの温度感。
そこに、現代の感性を重ね合わせるムーブメントが広がっているのです。
懐かしさと新しさが同時に存在する、その絶妙なバランスが、今の時代に心地よく響いています。
この流れの中で、特に象徴的な存在が江口寿史先生でしょう。
1956年生まれの江口先生は、1977年に『すすめ!!パイレーツ』で連載デビュー。
80年代を代表する作品『ストップ!! ひばりくん!』では、ポップで軽やかな絵柄と、当時としては非常に先鋭的なテーマやキャラクター表現で、マンガ界に新しい風を吹き込みました。
私たちの世代にとっては、まさに青春そのものです。
しかし江口寿史先生の魅力は、単なる「懐かしさ」だけではありません。
80年代中盤以降はイラストレーターとしても活躍し、雑誌、広告、CDジャケット、書籍装画など、ジャンルを超えて作品を発表。
洗練された描線、絶妙な余白、そしてその時代の空気を切り取るファッションセンスは、今見ても驚くほど新鮮です。
むしろ「今だからこそ刺さる」と感じる若い世代が多いのも納得できます。
展示会場で、大判で出力されたイラストや原画を前に、足を止めて見入る若い方々の姿が印象的でした。
スマートフォンで育った世代にとって、手描きの線や紙の質感、色の乗り方は、デジタルとは異なる魅力として映っているのでしょう。

江口先生の作品には、時代を超えて共有できる「かっこよさ」と「かわいさ」が同居しています。
懐かしさと新鮮さが自然に共存する江口寿史先生の世界は、世代や性別、国境さえも軽やかに越えていきます。
今回の福岡アジア美術館での体験を通して、その理由を肌で感じることができました。
これからも江口寿史先生の作品は、多くの人の記憶と感性に寄り添いながら、新しいファンを生み続けていくことでしょう。
